硝子越しの暴走×ROLLICKSOME SCHEME×phonegazer 女性ボーカルが語るガールズシーンとは

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2016年3月3日に、ちょっと勝気な女の子がメンバーの3組による3マンライブが開催される。男勝りなパフォーマンスで圧倒的なライブ力を見せる3ピースガールズバンド、硝子越しの暴走。ジェンダーを超えて「人間」としての価値を追求する男女混合4人組バンド、ROLLICKSOME SCHEME。逆境に負けず、困難を打ち砕いていく真っすぐなロックバンドphonegazer。インディーズバンドシーンにおいて”ガールズ”イベントはこれまでにも数多く行われているが、今回集まった3組は共通してその“ガールズ”枠から比較的漏れてきたバンドたちだ。「かわいい」よりも「かっこいい」を求め、既存の“ガールズ”枠に囚われないバンドスタイルで奮闘してきた。
その3バンドが、自らで“ガールズ”イベントを開催する。しかも開催日は女の子の日、ひな祭り。またアートスペースのある渋谷HOMEと、ライブ会場の渋谷Lushの2会場往来型で、3マンながらもコンセプティヴなイベントだ。
女の子として見られることをどこか否定してきた彼女たちが、今回敢えてアートやファッションも取り入れた女の子らしいイベントを開催する心境とは?赤裸々なガールズバンド事情も含め、ボーカル3人の縣談をぜひお読みいただきたい。


女性ボーカル敏感センサーが働いていた

加藤彩可(phonegazer,OTOZINE)/以下やか:3月3日の女性ボーカルバンドの3マンは、当初硝子越しの暴走から声をかけてもらいました。まず硝子越しの中で、このイベントをやろうと思ったきっかけは?

小嶋チャン麻起(硝子越しの暴走)/以下チャン麻起:硝子越しは2月にリリースがあって東京のツアーをどうするか考えていたんだけど、どうせやるなら自分たちで発信して、尚かつみんなで作れるイベントを作りたいなと思ったんだよね。で、時期的に3月にやりたかったこともあって「3月3日に女の子だらけのイベントやっちゃう?」みたいな話しからスタートしたのかな。私たちはガールズバンドとして括られていることがそんなになくて、地方遠征が増えてからはガールズバンド、女の子ボーカルのイベントに呼ばれる機会が多くなったけど、昔はそこに対して抵抗があった。今はそこまで尖ることもないけど(笑)。“女性”にフィーチャーするイベントも面白いなって思えてきたから、今回このイベントをやろうって気持ちに繋がったんだと思う。

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やか:今言ったように、硝子越しもローリックも、うちもそうですけど、いわゆるガールズバンドの括りとして、良い意味で捉えられていないバンド。そこはすごく大きいと思うんです。ローリックは最初にこの話が来た時にどう思いましたか?

ワイコ(ROLLICKSOME SCHEME):正直、女性ボーカルやガールズバンドの括りってありがちで、いろんなライブハウスでも「ガールズバンドで組みました」ってイベントに誘ってくれる。でも、硝子越しと同じ感覚で昔に比べて誘われることに抵抗が無くなったから、それは一つ出演を決めた理由になると思う。結構わたし、女性ボーカル敏感センサーみたいなのがあって(笑)。かっこいいと思う女性ボーカルバンドと、好みではないなって思う女性ボーカルバンドに対するセンサーみたいなものがある。ただ、そういう意味ではフォンゲイザーも硝子越しも自分のセンサーではカッコイイじゃんって思える女性ボーカルバンドで。女性であることの強さをちゃんと活かしているバンドだなって思っているんだよね。だから、然るべき3組だなと思いましたね。

やか:自分は東京で初めてライブをした時、硝子越しの暴走が対バンだったんです。もう4~5年前ですけど。その後、東京のシーンに入っていくとローリックが先頭で走っていたから、私にとって本当に先輩なんです。みんな自分の中での女の子バンドへのセンサーがあるけど、最終的に自分たちのスタイルを貫いているわけですよね。一方で苦労したことってありますか?

ワイコ:あるよね。周りは男の子ばっかりだから、控え室は全員わたし以外男みたいなこととかあるわけで。そういう時は見に来ているお客さんも、女の子のお客さんが多い。どうしても男性ボーカルや男性のバンドには女性のお客さんが付きやすいからね。でも、それを覆すのが快感(笑)。「なんだ、女の子のボーカルでもカッコイイじゃん」って思ってもらえることが、ROLLICKSOME SCHEMEの自信だから。女の子も憧れる女の子のボーカル・バンドって意外といないから、そうなれた時の嬉しさはあるかな。

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チャン麻起:それはわかる。うちらも男の子のバンドばっかり対バンだったり、音がデカい、厚いバンドとガッツリやることがあって、そこに漂うアウェイ感に対して「やったるぜ」って気持ちがある(笑)。「絶対ハマるよ」「これはいけると思うんだよね」って思いながらステージに上がって、自分たちがステージに上がるまでは無かったシーンを受け入れてもらったら、やっぱり嬉しいと思う。でも、なんなんだろうね、あの感覚は(笑)。所謂尖っていた時期に「ガールズバンドでイベント組みました」みたいなイベントに出た時、「自分たちは違うぜ」っていう感覚がずっとある。しかも、尖りに尖ってたから全員だせえと思ってたし(笑)。自分たちも同じガールズバンドなのに、ガールズバンドはださいみたいな見方だったの。

ワイコ:それでも抵抗なくなったよね。それって自信が出てきたってことなのかなと最近思うようになったんだけど。

チャン麻起:うん、自信につながってるのかな。ここにいても大丈夫という余裕とか。

ワイコ:わかる。女性ボーカル同士でも、ガールズバンド同士でも、それぞれ出来ることがあることが分かってきたから、周りに惑わされないステージが出来るようになった。そこで生まれた自信が今回のイベントにつながったのかな。

どうにかして女性ってものになりたくないって抵抗心があった

やか:わたしは年齢もあるのかなと思ってます。若かりし頃は尖るじゃないですか。10代~20歳前後くらいまでって、本当に女の子らしくなる子は女の子らしくなってくる時期で、自分はそこに上手く乗れなかったんですね。もしかすると女性って言葉自体に焦りを感じていたのかも。“可愛い”を蹴散らすくらいカッコよくなってやろうみたいなことは思っていた。

ワイコ:わかるなあ、それ(笑)。

チャン麻起:それはHISOKA(フォンゲイザー前身バンド)時代はバシバシに感じてたよ(笑)。あれは半端じゃなかった(笑)。

やか:HISOKAは音楽性もあって、「このバンドでスカート履けないな」って思ってましたね(笑)。バンTとGパンでやってました。髪ももっと短かったし、どうにかして女性ってものになりたくないって抵抗心があったかな。

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チャン麻起:そこから若干難しい時期は終わったのかな。女性である自分に対して劣等感もありつつ、女性であることの良さも感じつつみたいな。

やか:社会的に「パーリーピーポーには馴染めないぜ!」みたいなのと同じ感覚なのかなと思う。華やかな女の子と自分との格差って以前から感じてるんだけど、男性だろうと女性だろうと社会的に感じている疎外感や馴染めない空気感と少し似ていて。そこが音楽の鋭い部分として出ていると思うんですよね。

チャン麻起:硝子越しの中でもよく音楽の中でその面は現れるって話はしていて、やっぱり頼れるのは自分たちの楽曲なのかなって思う。逆に音楽をやっていない時なら全然お洒落もメイクもしたい。でも、わたしは最初に音楽を見て”カッコイイ”って思ったのが男性バンドだったから、憧れの根底にあるカッコよさに近づこうしているのかな。

やか:例えばギタリストだったら尊敬するギタリストとかっているじゃないですか。じゃあ女性ボーカルとして尊敬しているボーカリストっているの?って聞かれたら、自分はあんまりピンと来ないんです。いたとしても男性だったから、自分とは全くかけ離れた存在だと思っていて、自分が憧れていた対象が女の子じゃなかったのかなって思いました。

ワイコ:うん、そうかも。