Magic Node Festival 2014 ライブレポート

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2014年4月29日に行われたBirth presents「Magic Node Festival 2014」通称マノフェスは、第1回が開催された2012年から数えて今年で3回目の開催となった。昨年11月には秋版マノフェスを3日間にわたって行うなど、現在も様々な形で進化を続けている。今年は下北沢ReG、下北沢MOSAiC、下北沢Daisy Barの3会場で行われ、“下北沢で最もコンパクトなサーキットフェス”という印象を受けた。昨年はReG、MOSAiC、BASEMENTBARの3会場で行われていたが、MOSAiCとBASEMENTBARの間には若干の距離があり、移動に時間が掛かった。それが今回Daisy Barに代わったことで全会場を回る時間が短縮した。これは大きな改善と言えるだろう。

マノフェスのコンセプトは「MUSIC×FASHION×ART」で、バンド演奏を軸にしたタイムテーブルではあるものの、ファッションショーやライブペイントを始めとするバンド演奏以外の催しも存在感を放っていた。特にMOSAiCでは一階でアクセサリーなどの出店を行い、地下のライブ会場ではフロア脇にキャンバスと絵の具が置かれ、ライブ最中にステージの横で57 picturesのアートワークデザインなどを手がけている鈴-suzu-によるライブペイントが行われていた。今回は、そのようなコンセプトのもと敢行されたマノフェスのレポートをお届けしたい。

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ReG一番手はRandomDotStereogram。同日に新代田Feverでワンマンライブを行った鴉のメンバーが所属しており、多忙なスケジュールながらも圧巻のパフォーマンスで会場を熱狂させる。ReGのスタートから10分後にはMOSAiCにてビーチ・バージョンもスタートし、5月に行った共同大阪ツアーの相手であるMONTBLANCとグルーヴィーなバトンタッチを繋げた。一方のDaisy Barトップバッターは、この日唯一のガールズロックバンドJump the Lightsで、ガールズ3ピースのエネルギーを十二分に発揮した迫真のロックを奏でた。

ReGに戻るとトックリポックリがラストの1曲を迎えていた。重厚なメタルサウンドを披露したかと思いきや突如サビでコテコテのJ-POPに変わる展開の大胆さに「今のは何だったんだ…」と呟いてしまうほどの衝撃があった。そのままReGはHIGH BONE MUSCLEへ。スペーシーなSEから壮大なギターのイントロへと繋ぎ、か細い体で等身大のメロディを紡ぎ出すボーカル鈴木の歌とギター萩原の安定した技法のリフが絡む。強固なサウンドに乗せた歌が、真っすぐに伝わってきた。

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MOSAiCでは秋田からNewspaper Boysが登場する。ミスチル桜井やGRAPEVINE田中を彷彿とさせる艶と伸びのあるボーカル中川の声が、サウンドワークの中心に立っていた。曲調はストレートなメッセージソングからカントリー、歌謡ポップとバライティーに富んでおり、日本人なら誰もが愛したいと思うような大きなバンド像がバックグラウンドに見えた。

Daisy Barでは3番手空創ワルツが終盤にさしかかっていた。パンキッシュな2ビートにテレキャスターの鋭い音像で、切ないながらもエネルギーに満ちたJ−エモパンクを爆発させる。「このイベントにヒカリを ! 」と最後に「ヒカリ」を披露した。余韻に浸りながら会場の外へ出ると下北沢に午後5時を知らせる鐘が鳴り響いていた。

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ここでReGはファッションショーの時間に突入する。最初にポップなエレクトロサウンドで登場したのはブランド「“0”(ラブ)」による動物のお面をヘッドドレスに見立てた女の子たち。華やかなパステルカラーのワンピースは、まさに森の動物たちのような可愛いらしさを演出した。ムーディーかつミニマルなグランジミュージックが流れると、モノトーンを基調としたクールな「acha」コレクションにチェンジ。セクシーながらもフォーマル感は忘れず、黒のハイヒールや厚底などでタイトな印象を与えていた。そしてBjorkの「Hyperballad」に乗せて「filmum.」のコレクションが始まる。Bjorkのようにフェミニンでありながらも奇抜さを取り入れたデザインで、カラーはベージュ、レッド、グリーン、ブルーと続き、ブラック、最後はまたベージュとアースカラーをモチーフにしたデザインとなっていた。ファッションショー最後は「Salt&Sojabhne」のコレクションだ。BGMのクラシカルなコーラスが不穏な世界へ招き入れ、モノトーンでゴージャスな服を身につけたモデルたちが登場する。レースやチェック柄を用い、スニーカーなどでポイントを外しながらもカッチリとした印象に仕上げた。全体を通して客からの歓声が飛び交っており、モデルが1人登場する度に皆、息をのんで見入っていた。

ファッションショーの裏側では唯一、ARCHAIC RAG STOREがMOSAiCでライブをしていた。「僕はサーキットフェスってあんまり好きじゃないんですけど、今日ちょっと好きになれたような気がします」とボーカル鴻池が笑う。実は彼、去年も全く同じ発言をしているのだが、裏を返せば「マノフェスには出る意味がある」という意思表示かもしれない。しかしアルストはいつ見ても痺れるくらいカッコいい。サラリと軽快な身のこなしで、根っこは火傷しそうなほど熱いロックンロールを繰り広げていた。

愛媛県は松山よりDaisy Barに登場したのはSunmarineだ。今回は1月にリリースしたシングル「addiction」のツアー中とのこと。キャッチーで繊細なメロディセンスとミクスチャーロックの力強い音圧が、見事な化学反応を見せていた。

そしてMOSAiCの壁をキャンパスに見立てて、nameshopがその世界観を露わにした。ころころと変わるピアノのアルペジオに合わせてペインターが絵の具を走らせ、VJのようにステージ後方に映し出す。一見ただ塗り重ねているだけに見えるが、曲の節目で絵として完成していくその様は見事だ。ボーカル澄人が全身で歌う人間味溢れる姿に、涙が出るほど美しい音像がマッチし、見るものを圧倒していた。

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Daisy Barではまた異なる人間臭さを、こゆびが表現していた。ボーカルゆうきの挑発的かつ色っぽいパフォーマンスは、ミドリや、つしまみれを彷彿とさせるエネルギーがある。取り乱した狂気も、吐き捨てるような気だるさも、彼女たちが代弁してくれていた。

MOSAiCでは、おい、そこの道あけろのライブが始まる。楽曲はシンプルな3ピース構成だが、とにかくボーカル高木正典の歌がすごい。以前LOST IN TIMEの海北も絶賛していた彼の歌は、日本男児らしい熱い応援歌だ。「生きている ! 」と力強いメッセージに、涙を流して聞いている客もいるほど。彼らの真っすぐな思いがダイレクトに伝わるステージだった。

そしてReGの眩いLED照明を完全に自らのものとしていたのはroom12だ。3月にギター飯沼がステージを降り、「4人で今日から再出発しています」とボーカル平野が言うが、その勢いは衰えない。ブレイクしたギターの重みが痛快に鳴り響き、フロアは大興奮を見せる。肉体的だが精巧に絡み合う各パートのシンクロに、終始踊らされていた。 いよいよマノフェス各会場でトリの時間となり、まず一番に始まったのはDaisy Barのジルバだ。ハスキーなボーカル逸見の声に煽られ、ハンドクラップがフロア後方まで続く。メンバーは黒いスーツを身につけ、グルーヴィーかつブルージーなロックサウンドを駆け巡らせる。ドラム宇佐美が熱いドラムワークを、転がるように軽快にこなす姿にグッと熱い感情が沸き上がり、今日1日でDaisy Barに出演した全ての熱きロックバンドを思い起こした。

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「弁慶~ ! 」の声に合わせてReGの幕が上がると、3D浮世絵を思わせる着物集団が登場した。ReGの最後を飾るのはオワリズム弁慶だ。ざっと見たところ15人ほどいるメンバーは、通常のバンド編成にトランペット、ハーモニカ、MCが2、3人と、そして残りは全てダンサーだ。ステージから飛び出し、フロアで歌う、踊るの大惨事に。祭囃子にジャズを取り入れたビックバンドに思えるが、エレクトロ、ハードロック、ラップとかなり巧妙に作り込まれている。パフォーマーとしての演出はもちろん、ジャンルの諸要素を取り入れつつ一貫して「オワリズム弁慶」の音楽を奏でていることに脱帽し、次世代の渋さ知らズを感じた独特のステージであった。

マノフェス全アクトのトリを務めるのはSONALIOだ。柔らかなシンセと絡み合うリズム隊や、ハイトーンの裏声に鮮やかなコーラスワークを仕掛ける様が見事だ。普段は映像とコラボしたライブ演出を行う彼らだが、直前にプロジェクターが故障してしまったとのこと。それでも通常の照明演出で十二分に心酔できてしまうのだから、このバンドは恐ろしい。出演までに「10バンドくらい見た」とボーカル斎藤。それらのバンドとそれぞれの感想をスマホにメモしており、ドラム海保から理由を聞かれると「え、思い出」と笑いを取った。大胆に切り替わる進行に複雑なリズム構成が合わさるが、展開のドラマチックさを見失うことなく、かつミニマルに聞かせる技量は本当に素晴らしい。温かい人柄も感じられるステージで、マノフェスに盛大な幕を降ろした。