【ディスクレビュー】 どろんどろん 1st mini album『丘に着いて』

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ボーカル&キーボード・ベース・ドラムの3人で構成され、2013年4月に現体制での活動を開始したバンド、どろんどろん。彼らは自身のことを、「前衛的不可思議鍵盤バンド」と名乗っている。前衛的? 不可思議? なんだか難しそうだな……と思う人もいるかもしれないが、彼らの楽曲を聴けばその言葉の意味を耳と心で理解できるはずだ。多角的な展開を繰り広げながらも、一貫してポップミュージックの本質をにじませているサウンド。日常というものを一旦解体し、それをファンタジックに再構築したある意味「コミカル」な歌詞。それらを繋ぐボーカル・09の、音の一つになろうとしているような、一方で言葉を伝えることに専念しているような、何色にも染まる真っ白な声。彼らはまるで宇宙のようなスケール感と自由さとを兼ね備えた音楽を確立し、それを自身の持ち味にしてリスナーの心を捕らえにゆく。

1月7日にリリースされた1st mini album『丘に着いて』も、彼らの遊び心が至る所に散りばめられた作品だ。ピアノの音特有のぬくもりを最大限に解き放ち、そこに09のピュアで伸びやかな声を重ねて聴き手の心をふわりと浮かび上がらせる”kaisou”、 不穏なベースの低音が緊張感を醸し出すイントロから、ピアノが慰めのように優しい旋律を奏でるアウトロへの展開が素晴らしい”アンデルソン”、めまぐるしいテンポチェンジの中で、ベースの歌うようなフレーズとシンバルの響きの心地よさが光るインストトラック”未知との遭遇”、真っ黒な海をテーマにしつつも、それと対照的に星の煌めきのような美しさがピアノの音に詰め込まれた”海へ”、タイトルの通り、音という音を地面に叩き落として響かせあっているようなアンサンブルが印象的の”Racca”の5曲が収録されている。
現代のほとんどのバンドの肝となっているエレキギターを使わず、キーボードを軸に据えた3人の音だけで未知の世界を多彩に描き分けてしまう彼ら。その正体は、時代の先を行く且つ一度再生ボタンを押してしまったら何が起こるかわからない音楽を鍵盤を中心としたサウンドでくっきりと型抜く、まさに「前衛的不可思議鍵盤バンド」だ。そんな彼らの聴けば聴くほど聴きたくなる底なし沼のような魅力が詰まった今作には、もうズブズブとハマっていってしまうよりほかにない。1st albumとするにはあまりにも完璧すぎる、「未来の音楽」を壮大な音と感性で表現したアルバムである。

文:笠原瑛里

▶どろんどろん
2013年4月 現体制にて活動開始。前衛的不可思議鍵盤バンド。
測不能でスリリングな展開と共存するポップなメロディーを武器に現在都内で活動中。
▶1st mini album『丘に着いて』
2015.01.07 RELEASE
¥1200
1.kaisou
2.アンデルソン
3.未知との遭遇
4.海へ
5.Racca
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