渡部かをり(nameshop )『あなたと話したい- TOKYO UNDER GROUND編 – 』

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OTOZINEをご覧の皆様、初めまして!nameshopでベースと活字を担当している渡部かをりと申します。

バンドでもメルマガや物語を書いている私ですが、初めてその枠を飛び出してこうして言葉を書く機会をいただきました。数回、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

私のコラムのテーマは「人と話す」です。20歳くらいからバンド活動を始めて、早7年(歳がばれちゃう)。色々な形で、音楽シーンを作ったり支えたりしている方と出会いました。なかなか出会った現場ではゆっくりお話しする機会もないので、この場を借りて、お話をさせてもらおう!と。

記念すべき初回は、私がそれこそ7年前からお世話になっているライブハウス「新宿JAM」のPA(音響スタッフ)山田和弘さんと「ライブハウス」について話してきました。


『見に来てかっこいいなって思ったバンドが売れていったら、すげえ楽しいじゃん』

渡部かをり:もう長い付き合いになりますが、実は山田さんについて知らない事ってたくさんあって。バンドマンを代表して、またライブハウスに遊びに行くお客さんを代表して、今回は素朴な疑問をぶつけたいと思います。
まずPAって音楽系の仕事の中でも割と過酷な職業だと思うのです。新宿JAMは1部から3部までやる、という日もありますし。(※1部=昼公演、2部=夜公演、3部=深夜公演)

山田和弘:長い時は一日16時間くらい働くね。

かをり:そんなハードワークでも続けられるPAの魅力って何なのでしょうか?

山田:これはライブハウスに来るお客さんもそうだと思うけど、見に来てかっこいいなって思ったバンドが売れていったら、すげえ楽しいじゃん?最近のJAMで言えば「The Flickers」とか。そのためにやれることがあると思ってさ。でもそういう風に考えるようになったのもここ2、3年の話かな。

かをり:PAをやろうと思ったきっかけは何だったんですか?

山田:上京して、2、3年社会人をやっていて、不満もなかったし先輩とも仲良くやってたんだけど、不意に”俺ずっとこんな感じでいいのかな”って思い始めて会社を辞めて。ある時(地元である)北海道のバンドがツアーでJAMに来てそれを見に行った。その時にJAMがPAを募集してて、すぐに電話した!それが22歳くらいかな。

かをり:思ったよりもきっかけは軽いノリでした(笑)。

山田:そうだね(笑)。もうJAMに入って七年経つ!

『俺等が相手にするのってノルマ払って出てるバンドじゃなくて、バンド見に来てくれるお客さんだから』

かをり:辞めようと思った事はありますか?

山田:何回もあるよ!誰かとの衝突もあるし、長い時間働くのがつらいこともある。しかも中学の頃の先生に「好きなことは仕事にしない方が良いよ」って言われたんだよね。すきなことを仕事にしちゃうと、プライベートに干渉してくるから。でもプライベートをしっかり分けて、そのために仕事をしている人もいっぱいいるでしょ。ライブハウスに来るお客さんにもそういう人って多いし。好きなバンド追いかけるために普段めっちゃ仕事して、遠いところのワンマンにも遠征してきたりするでしょ。そうしたら働いてる側は、そういう人がストレスを発散できる場所にしたい。勘違いされがちだけど、俺等が相手にするのってノルマ払って出てるバンドじゃなくて、バンド見に来てくれるお客さんだからね。

かをり:それは私も思います。お客さんがもっと楽しめる空間になったらいいのにと思って。

山田:俺は人生楽しく生きたいって言うのがモットーだから、みんなで楽しくいられればそれで良かったんだけど、やっぱ音楽業界も不況になって。ライブハウスに来るお客さんも見るからに激減してる。でも売れ始めたバンドがワンマンしたら、ちゃんと満員になる。たとえば去年「バズマザーズ」や「a flood of circle」がワンマンをやったときはJAMに200人入って。

かをり:そういうバンドの転機っていつなんだろう。

『このライブハウス、面白いなって思われなかったら』

山田:売れてないバンドはとにかくライブやるしか無いんだけど、ライブハウスに来るお客さんそのものが減ってるし、お客さんいないところでライブやってもお客さんつかないし、よほどセンスがいいか、よほど運がないかぎり厳しいよね。さっき話した「The Flickers」はYoutubeを見た今の会社の人が、JAMでのライブを見に来てくれて。トラブルがあってその日は結局見てもらえなかったんだけど、その日のイベントが良くて、その人がこのライブハウス面白いなって思ったんだって。それでまた別の機会に彼らを見に行ってくれたんだよ。

かをり:それは嬉しいですね。

山田:もしJAMのイベントが面白くなければ、そうはなっていなかったかもしれない。そう考えると運が良かったし、ライブハウスも良いイベントを企画しないといけないよね。