今年のマノフェスは、かつて無いほどの「フェス感」に溢れていた

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「Magic Node Festival 2015」、通称“マノフェス”も今年で3年目を迎えた。毎年4月29日に下北沢で行われ、昨年より1会場多い4会場でのサーキットイベントとなり、着々と規模を拡大している。

会場数が増加すればフェス感が増すのは当然だろうが、とにかく今年は出演者のレベルアップがすごい。マノフェス常連出演組は一昨年より昨年、昨年より今年と確実に演奏力が増していて、「これが若手バンドの成長過程か!」と、まさに新人枠の多いサーキットの醍醐味を味わえた。

そしてラインナップの多様化も「フェス感」の1つである。同系色のバンドが多いイベントよりも、数やジャンルの多彩さが際立つ方が何と言っても「フェス感」が出る。

そのバライティーに富んだマノフェスのレポートをお届けしよう。

まず、今年のメインステージ的会場となった下北沢ReGではroom12がラウドでスリリングな爆音を叩き付け、圧巻のトップバッターを努めた。ボーカル平野が「今、ここが日本で一番熱い場所だ!」と会場を煽って行く。攻撃的で野心に溢れる姿が非常に勇ましい。
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下北沢MOSAiCの2番手はごっこ。4月にタワレコ限定リリースと、タワレコ渋谷店でのインストアを成し遂げた彼らは、航海を思わせる壮大な映像を音で表してくれた。1曲目「蒼い炎」で出航し、「回想記」では荒波に飲まれるも、ラストの「眠らない街」では再び水平線の向こうへ旅立っていく。1本の映画を見ているようなステージであった。

童話的ファンタジックさとおぞましさを兼ね備えた独特のバンドが下北沢ReGの3番手、パンパンの塔だ。5月13日には3rdミニアルバムがリリースされるが、その収録曲「お寺ポックンロール」を披露し、木魚風のパーカッションに“ナンマイダ〜”とお経のような歌詞を合わせ、その天才的な秀逸さには適わないな、と脱帽してしまう。
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下北沢MOSAiCの3番手は神戸出身のthe ciboが凄まじい轟音で会場の空気を切り裂いていく。残響shopでのCD売上が好調な彼ら。オルタナ、グランジ、シューゲイズといったジャンルに精通するも前をしっかり向いて来場者と笑い合うステージが、類似するバンドとは異なった聡明さと思いやりに溢れる人間性を感じられた。

続くMOSAiCは本日唯一のエンターテイメント枠、ボンバングーの大道芸だ。ジャグリングやシガーボックスなど様々な技を懸命に披露する彼、実はジャグリング世界大会で金メダル、あのマッスルミュージカルにも在籍していた実力の持ち主。ライブハウスでパフォーマンスするのは初めてとのことだが、高さが足りないからと、かがみながらのボールを使ったジャグリング。それも手に乗らないほどの数を交互に投げる様は見事であった。
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このようにマノフェスは「MUSIC×FASHION×ART」をコンセプトとしており、昨年まではファッションショー、今年は大道芸という音楽以外の出演者が見られるのも特色の1つだ。

MOSAiCの1階ではヘアアクセサリーのワークショップや、小物を扱う若手ブランドも多数出店し、楽器をかたどったブローチや、小瓶の中に花や色の付いた砂などを入れたピアスが置かれていた。また、地下のライブ会場でも淡く儚い色遣いでバンドマンからも支持される鈴-suzu-がライブペインティングを行っていた。
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下北沢WAVERと下北沢Cave Beは今年からマノフェスの会場として加わった新しいステージだ。夕暮れ時、Cave Beの折り返しにはmemento森が登場。オルタナティブロックにラップを乗せ、強固なグルーヴと力強いビートをぶち込んで来る。人間の根っこから来る血の通った音楽がビリビリと全身を伝った。
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同じく折り返しとしてWAVERに登場したのは空創ワルツだ。エモーショナルでハッピーな「ゆらゆら」では「僕とみんなで生歌合戦しませんか!」とボーカル悠太がマイクを捨ててシンガロングを促す。疾走感のあるビートに絞り出すような歌声も合わさり、エモさと壮大さを感じるステージだった。

芸術的なライブパフォーマンスでMOSAiCのステージに立ったのはnameshopだ。「アメノチ」では生きる喜びや明日への希望に満ちた美しい世界を描く。曲中に絵をスクリーンに映し出す彼らのパフォーマンスは、変わりゆく景色や諸行無常の人生のように移ろい変わる。ここ3ヶ月ほどライブを止めていた彼らの久しぶりのライブとなったが、生命力の増した演奏に思わず涙ぐんでしまった。
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18時台も後半を回り、ReGはここから女性ボーカル枠が続く。

まずは元Whiteberryの前田由紀だ。15歳の頃に名曲「夏祭り」を歌っていた彼女。今はアコースティック編成で全国各地を回っているそうだが、とにかく声が可愛い!現在は29歳になり、多くの人と喜びを共有する素敵な女性になっていた。J-POPの持つ優しさと温かみを届てくれ、最後は「夏祭り」を歌い会場を楽しませた。
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そして音出しでB’zの「ultra soul」を熱唱しながら楽器隊の男性3人と幕上げしたのは、元BiSのプー・ルイがボーカルを努めるLUI FRONTiC 赤羽JAPAN。90年代ガールズバンドを彷彿させる重めのロックサウンドと真っすぐな歌で会場の熱を最大限引きした。6月はぽわんとのツーマン、10月もワンマンを控え、純アイドルでも純バンドでもないエンタメ的新世界を創り出してくれそうだ。
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日も暮れたMOSAiCでは大阪出身のreading noteが登場。痺れそうなロックサウンドに壮大なスケールを感じ、ボーカル平田の歌声は切なさと芯の強さに色気も醸し出している。優しいと思うと突き放され、野性的かと思うとクールでもある。そんなスマートでSっ気が混じる彼らに思わずドキドキしてしまった。
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ReGでは少し大人な雰囲気の色気を出す大所帯バンドがいた。二人目のジャイナである。情熱的なバラードから軽快なナンバーもあるソウルフルなブラスバンドロックで、フロントマンMasaの渋い歌声も絶妙だ。サックス、トランペット、トロンボーンの3人は渋く強面な雰囲気ながら、振り付け曲をにこやかに踊る姿が可愛いらしい。踊れ、歌え、騒げ!と会場をグルーヴの渦に巻き込んだ。
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大トリはMOSAiCにてハシグチカナデリヤが宇宙空間と遊び心のあるグルーヴを奏でた。ループマシンの卓越した技術を駆使し、3ピースながらギターのリフを重ねて煌びやかに仕上げていく。このループがミニマル感を生み、途切れない音の弾丸をぶっ放してくる。またボーカルのハシグチはZAZENBOYS向井を思わせる独特な口調と脱力感を見せると共に、聴かせどころの歌声はそこらのボーカリストを凌ぐ実力があるから本当にズルい。10月にクアトロでワンマンを行う彼らは、MCで「日々、自分ルールを崩す」と語る。彼らのサイケデリックポップが、更なる発展を遂げることを予感出来るライブとなった。
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文・加藤彩可

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