LINEで送る

[HIMONO STAGE] 小林末季

HIMONO_小林未季1_1 HIMONO_小林未季1

HIMONO STAGEに登場した小林未季は、サポート山口健一(Gt)と小笠原一馬(Perc)を率いて、アコースティックセットでライブを行った。<今の季節にぴったりの曲です>という合図から、はじまった1曲目は「キンモクセイ」。演奏を始める前、小林の<ゆったりとした曲が多いので、ゆっくり聴いてってください>という声かけから着席して聴くスタイルへと変わった会場には、リクラシングな空間が漂っていた。透き通った中にどこか芯の残る声と心をえぐるようなフレーズが耳に届く頃には、彼女の音楽の中にどんどん吸い込まれていくような気持ちになる。アコーステックで奏でられる音楽の自然さが、普段とは違った彼女の音楽を演出しきっていた。

オーディエンスが彼女の歌声にリラックスしながら聴き入っていると、続けて演奏されたのは「白んだ空に浮かぶ月」。2曲の演奏が終わると、<自分の話をするのが下手>と言いながらも、一生懸命今までの活動の経緯を紹介。しかし、頑張った話したMCのあとに、演奏順序を間違えてしまうというハプニングが発生する。<緊張しています>という言葉から微笑ましい笑いが起こったあとには、彼女の代表曲「愛のかたち」が演奏された。

家族の愛をテーマにしたこの曲は、小林自身の一人っ子の体験談から作られている。歌詞へのこだわりの強さが歌い進むに連れてひしひしと伝わってくるのはもちろんだが、その声の存在がとても説得力のある深みを増している。彼女の声には、なにかモヤモヤとしたの空気を一瞬で変えてしまうような存在感が光っているようだった。

最後に小林は、<フェスということで、みなさん立ち上がってください!>と言い、ゆったりと流れていた空間を一変して明るくカラフルに変えるように「テンポ」を演奏した。この曲は、彼女の2枚目のアルバムとしてピアノロックのイメージで作られた楽曲。イントロからピアノのリズミカルで弾けるような音が奏でられると、全員が立ち上がった会場からは体を揺らす人も出て、各々が彼女の繊細な音楽を身体の芯で感じているようだった。途中隣のステージの演奏が聞こえると、<負けないぞ!>と言葉を挟みながら迫力のある演奏を続ける。前半の落ち着いた曲想に比べ、最後の楽曲ではより多彩な音色が賑やかに鳴り響いていた。その演奏でステージを締めくくり、ライブは幕を閉じた。

前日の天候の影響で屋内へとステージが移される事がなければ、屋外という風の通りのよいまた違った雰囲気で彼女の音楽が聴けたのかと思うと惜しいが、アコースティックで聴かせる小林未季の音楽はとても繊細にこのフェスに残ったに違いない。

[Photo:児玉駿介 Text:大和田茉椰]

■セットリスト
01.キンモクセイ
02.白んだ空に浮かぶ月
03.愛のかたち
04.テンポ


[MIKAN STAGE]THE SNEEZE

MIKAM_THE SNEEZE1_1 MIKAM_THE SNEEZE1
<続けていればこういうところでもできる>。演奏が始まると、イントロからそのステージを飛び降りた。勿論足りないのは幅だけではない、高さだって足りないぜ。飛ぶ、ズボンが張り裂けそうだ。

まさか2曲目でマイクを引き抜き、ステージからフロアに舞い降る。スカダンして、円をつくる。中心に椅子をおいて。まさかその上で歌うなんて。そこにギターが乱入してくるなんて…。でもそういうところが最高。最高に自由で楽しい。椅子をもう一脚もってきて、二段飛びしちゃうとかね。

彼らは葛飾出身だ。そんな地元で葛飾音楽祭というフェスを8月30日に行ったところだ。だからこのイベントを行う大変さを、一番知っている。
<人生は地球の中心はあんたの足元、自分で運命を回そうぜ、人と同じように生きても革命はおこせないぜ、自分の中でいい、一度だけでいい、革命を起こそう>4曲目はそんな思いの込められた、何度でも立ち上がるメッセージソングだ。

最後に続けざまに2曲。終始笑顔がこぼれた。陽気なツービートだから、ベースの音がうねりをあげているから、ギターを掻き鳴らしているから、そんな理由ではない。オーディエンスが、THE SNEEZEが、音楽を楽しんでいた。何かを掴みたいと、守りたいと願った拳たちが色鮮やかに輝く。
ラストサビなんて、もうめちゃくちゃだ。マイクはお客さんが押さえているし、ステージにはドラムしかいない。でも、どこのステージよりも素敵な笑顔がここにはあった。

[Photo:山下直輝 Text:小此木愛里 ]

■セットリスト
01. 僕たちに明日はある
02. Mr.Entertainer
03. BOYS BE…
04. I BELIEVE IN FUTURE
05. 生きる
06. 空前絶後ターニングポイント


[KAMABOKO STAGE] tricot

KAMABOKO_tricot1 のコピー KAMABOKO_tricot1
京都/滋賀の爆裂三人娘tricotが遂に小田原イズムのメインステージに立つ。

Vo/Gtの中嶋イッキュウの挨拶を皮切りに、轟音が打ち鳴らされ、会場がビリビリと震え始める。その轟音は会場を駆け回ると、パズルが組みあがる様に規則的に並び始め、彼女達の代表楽曲である「爆裂パニエさん」へと姿を変えていく。自分たちtricotが舞台にいる事を証明するかのように音が再び会場を駆け回った。

そして息つく間もなく、彼女達の持ち味が炸裂している「POOL」が鳴り響き始める。規則的かつ不規則なリズムがオーディエンスを揺さぶり、魅了された人が一人、また一人とドンドンと吸い寄せられていく。

MCでは、遂に出演できた思い、そして小田原イズムの10周年を祝福する意が込められたtricot流のサンバが披露し、終盤に差し掛かると、<小田原、全員かかってこいや!>、<ここにいるのが、どれだけ嬉しいか分かるか!>と今までの思いを全てぶつけ、会場を一層ヒートアップしていく。

初めてにして、巨大なメインステージながら、その圧に負ける事のない圧倒的な存在感を放つ、パワフルなステージング。その様は、この小田原が彼女達の慣れ親しんだ場所であるかの様な印象をオーディエンスに与えていた。鳴り止まない拍手の中、彼女たちは初めての小田原イズムを終えたのだった。

[Photo:小笹竜馬 Text:鷲津隼平]

■セットリスト
01.爆裂パニエさん
02.POOL
03.アナメイン
04.庭
05.99.974℃


[MIKAN STAGE] TEDDY

MIKAN_TEDDY1_1 MIKAN_TEDDY1

若手ギターロックバンドの中でもメキメキと力をあげているバンドの1つがTEDDYだ。〈前に詰めて!後ろまで届けるつもりだけどさ〉と、客の笑顔を誘いながら登場。一瞬で客を自分たちの方に引き寄せる力は、彼らの人懐っこさや愛嬌がもたらすものだろう。

〈もっともっと!〉と口でも、顔の表情でも欲しがっているおさべ(Vo/Gt)が力強く歌い上げる。音の塊になって飛んでくるグルーヴと熱量。一歩前に出てさらに客のボルテージをあげていく。
2曲目の「ジオラマ」は切ないロックサウンドながら、フォークソング的なぬくもりも感じる。ロックという力つよい音楽にぬくもりを感じられ、心の中に小さな勇気が湧いてくる。人間味や男臭さを感じつつ、ちょっと泣けちゃうメロディーを乗せるところがTEDDYの持ち味だ。

3曲目は少しテンポが速めの4つ打ちロックを届ける。一つ一つの楽器隊が共鳴しあっていて、スピーディーな楽曲ながら安定感がある。スネアの響きも心地よく、つられてオーディエンスもためらいなく手をあげている。

TEDDYの歌う歌は、ちょっと暑苦しいくらい生活を赤裸々に歌っている。小田原のバンド、また小田原を愛するバンドたちはどうも真っ直ぐすぎるナイスガイが多いらしい。

[Photo:山下直輝 Text:加藤彩可]

■ セットリスト
01. イタチごっこ
02. ジオラマ
03. モラトリアム
04. マジックアワー
05. ファンファーレ


[CHOUCHIN STAGE]ラックライフ

CHOUCHIN_ラックライフ_1 CHOUCHIN_ラックライフ
UME STAGEの相洋高校和太鼓部の大迫力のパフォーマンスの直後、隣のCHOUCHIN STAGEではラックライフが自分たちのリズムを刻みつつ、会場のテンポを整えていた。

ブレスから思いっきりPON(Vo/Gt)の歌声が響き渡ると、ギターの音色、ベース、ドラムも合流。楽器の音が加わって勢いよく1曲目「変わらない空」演奏の舵を切ると〈高槻からきたラックライフですよろしくー!〉とお馴染みの挨拶でステージの幕を挙げる。

PONの合図とともに手拍子、手を上げ、1曲目からすでにオーディエンスを釘付けにし、一体感に包まれる会場。曲の終わりに差し掛かかると、PONが〈小田原イズムーーー!〉と声を上げ、そのまま駆け抜けるようにLOVE大石(Dr)がビートを叩き続ける「フールズ」。リズミカルな音楽にオーディエンスのノリノリの手拍子が重なることで、よりポップな音楽へとアレンジが仕上がっているようだった。イコマ(Gt)が、髪をかき乱すほどのギタープレイを見せつけると、アグレッシヴな演奏は止まらない。

PONは〈おっきな声出してごめん〉と始まって2曲ですでに圧倒されている観客へ笑いかけるも、2曲目の終わってすぐ観客のレスポンスが大人しかったことに対し、〈サンキューっていったらフゥー! っていうねん! もう一回やるねん!〉とフェスならではの雰囲気へと楽しませる場面も見られた。

手拍子から始まった「その手とこの手」。“君のその手と僕のこの手“というフレーズが歌われると同時に、オーディエンスの手が一斉に上がる光景は、曲の歌詞の情景を表現しているかのようだった。続けて歌われた「アイトユウ」でも、PONの声を最大限に際立たせる、バンドサウンドのバランスが繊細さも、歌詞のメッセージ性とともにオーディエンスの心を動かしていたに違いない。

PONは<小田原イズムは友だちが一生懸命作ってるイベントです>と、原点であったライブハウスから10年で小田原アリーナ会場での開催されたことを心から祝福していた。<俺らもそれに賛同して仲間のひとつであることが嬉しい>と、地元愛の強い仲間が集まって作られたこのイベントに対しての思いと地元・高槻へ向けた思いを話す。

PONは最後に<一本ブスっと刺して、帰りたいと思います>と言い放つと、<ライブハウスで出会ったあなたへ>とフレーズから続けて「ハルカヒカリ」を残りのステージへと送った。最後までまるでオーディエンスひとりひとりに語りかけるように届いてくるPONの歌がとても美しかった。そして、ギター、ドラム、ベース、歌で4人それぞれが全身で音楽を鳴らしている姿が非常に眩しかった。演奏を終え、お辞儀を深くステージに残していった彼らが、音楽と音楽で出会った仲間たちへ向けた大切な思いもとても伝わってきたステージでもあった。

[Photo:ハヤシサトル Text:大和田茉椰]

■セットリスト
01.変わらない空
02.フールズ
03.その手とこの手
04.アイトユウ
05.ハルカヒカリ


[HIMONO STAGE]OverTheDogs

HIMONO_OverTheDogs1_1 HIMONO_OverTheDogs1

小田原イズムのHIMONO STAGE、もしくはアコースティックライブという概念から考えるとまぁ型破りなライブをしたOverTheDogsは、優しい顔をしながらけしからんくらいロックなバンドである。

まず、椅子が用意してあるHIMONO STAGEで客を全員立たせた。<普通にやってもおもしろくないからさ!>と言い放った恒吉豊(Vo)の顔は、ワクワクした気持ちが押さえられない無垢な少年のようである。

また、昔付き合いのあった嫌いなプロデューサーをイメージして作ったという「確信犯」も、温もりや切なさを醸し出す一般的なアコースティックライブの印象とは全く違うくらいロックであった。キーボードのコードのダーク感、カホンやアコースティックギターの乾いた音、そして恒吉の睨みつけるような眼差し…。その緊迫感をオーディエンスは逆に楽しんでいるようで、思い思いに体を揺らしたり、サビで拳を突き上げたりしていた。

最後に演奏された「パンダの名前に似た感情」でも、やはり今日のOverTheDogsが奏でたかったのはロックだったのだと確信させられる。カホンとアコギが一体となってアップテンポなリズムを刻み、“不安”という言葉を早口で何度も連発して会場を揺らす。

<まだまだ行けるかー!>という恒吉の煽りが会場をさらにヒートアップさせ、室内の温度と湿度をグングン上げていく。その証拠に、アコースティックライブのはずなのにメンバーも観客も汗だくだ。おそらく本日のHIMONO STAGEの中でも彼らのライブは非常に熱く、かつアグレッシブなライブだったことだろう。OverTheDogsの型破りなアコースティック……いやロックは、ニクいほどに愉快だ!

[Photo:児玉駿介 Text:笠原瑛里]

■セットリスト
01.うた
02.確信犯
03.うつらうつら
04.パンダの名前に似た感情


[HIMONO STAGE]前田史昭(ソウルフード)

HIMONO_前田典昭(ソウルフード)1_1 HIMONO_前田典昭(ソウルフード)1

ペットボトルの水を掲げてうんうんと頷く。
<初めての人いる?1曲見たら次の曲が聴きたくなるから>ちょうど私の目の前に、初めて見る方がいた。頬を赤らめながらどうしよう、とあたりを見回すが、しっかりと彼を見つめ首を縦に振っていた。

<一人一人の自分のための一日、自分のために>
ギターをかき鳴らしている、語りかけている…形容する言葉は要らない。心に届く言葉がとても強い力を持っているのだ。

だから、もしかするとこの音響装置も、難しい何かも必要ないのかもしれない。一つの舞台と彼、そしてここにいる一人一人がいればそれでいい。彼の言葉をしっかりと噛みしめる。

急にギターの音が止まる。<はい、上に手をぎゅーってして、みんな、はい、ぎゅーって!ここはライブハウスだ!!>拳を万歳の形で掲げる。そして始まった「リテラシー」のサビ。<はい、みんなおてておろしていいよ!>サビが終わると教えてもらえるなんて…!会場から笑みがこぼれる。
「通称クズ」が始まる前に語った<木部に一番見て欲しかった>の言葉が重たかった。
<あなたとぼくと音楽があればここは素敵なライブハウスになるだろ!>本当に、その通りだ。

<答えは全部出さなくていい。大切なものはぎゅっとしておけばいい。こうやって、ぎゅっと>ライブが終わると、いやー、色々あるわーと語る女の子がいた。その目に溜まった雫がとても輝いてた。それが今日の答えだと思う。

[Photo:児玉駿介 Text:小此木愛里]

■セットリスト
01. ライブニッツ
02. リテラシー
03. 通称クズ
04. 結局、